✅ 今週のメキシコ政治・経済・文化の注目ニュース
✅ 今週の他中南米地域の注目ニュース
✅ 今週のトピックス
皆さんこんにちは、eme (エメ) と申します。現在は日墨生としてメキシコ留学中です。
毎週日曜日〜土曜日のニュースを翌週日曜日に配信する、メキシコ時事に特化の【週刊メキシコ】第12弾をお届けします。
3月から在メキシコの商工会議所と某日系企業でインターンシップを始めてビジネスを勉強していく中で、幅広い分野の知識をどんどんアップデートしていく必要性を感じました…💦
発信を通じて皆さんに情報提供すると同時に、emeさんの中でもニュースを改めて咀嚼して、きちんと内容を理解するきっかけになると良いニャ🙂
せやね!一緒にどんどんレベルアップしていこう🔥
今週も、早速始めていきましょう(^▽^)/


メキシコ政治の注目ニュース
【メキシコ州&コアウイラ州知事選の選挙結果速報と2024年大統領選挙への展望】
今週は、昨日行われた州知事選の結果速報をお届けします!
どんな結果になったかニャ??
明日はメキシコ&コアウイラ州知事選ですね!『週刊メキシコ』で過去に何回かご紹介させていただいたように、メキシコ州では現状Morenaのゴメス候補優勢と見られています。
— eme @外大生の言語ブログ🌎 (@eme_log) June 4, 2023
今週号では通常版に加え、選挙結果速報もお届けしますので、是非お楽しみに👍#スペイン語#ブログ初心者#ブログ仲間募集中 pic.twitter.com/W2vSlf2Nyt
早速、結果からご紹介しましょう!😃

現地時間6月4日、メキシコ州知事選挙が実施され、事前の世論調査通りメキシコ州では過去に教育相の経験もある、与党連合(Morena-PT-PVEM)擁立のゴメス候補(Morena)が野党連合(PRI-PAN-PRD)のデルモラル候補(PRI)に勝利し、94年続いたPRIの地盤を奪取しました。
また、同日に行われたコアウイラ州知事選挙ではこちらも事前の世論調査通り野党連合のヒメネス候補(PRI)がMorena、PVEM、PTの3党がそれぞれ立てた候補を破り当選確実としました。
数字的には1勝1敗の痛み分けかニャ?🤔
そうなんやけど、両州は歴史的に野党基盤やから、来年の大統領選挙を見据えた際には与党Morenaが優勢に近づいたことは明らかやで。
今回のメキシコ州での勝利でMorenaが勢いを増したことで、AMLO大統領と関係の近いシェインバウム現メキシコシティー市長が大統領候補筆頭になるとの見方が強くあります。
一方のAMLO大統領は翌6月5日、毎朝の定例会見で、大統領選に向けて行われるMorena内での候補者選挙に介入はしない(No va a haber dedazo:お墨付きや後ろ盾は付けないだろう)と約束しました。
dedazo:(選挙での)強力な援助[後ろ盾]、高官が友人・親戚を公職に任命する事
メキシコで、政治関連のテーマに出てくるスペイン語です😉
またPRIは今回のEdomexでの敗北で野党連合内での発言力や求心力が低下し、来年の同連合内の大統領選候補者選びで影響力の低下が噂されていて、来年に向け各党間で勢力転換や連合再構築などがなされる可能性も一部では指摘されている。
補足として、メキシコ州選挙協会のプリド評議員によれば、
有権者の投票参加率は48.7-50.2%らしいニャ。
両州のレストランでは投票率を高めるために、インクがついた指(投票済み証明)を見せればフリードリンクがもらえたり、10-15%の割引が付与されたりするなどの様々なインセンティブを用意する施策がなされたものの、実際に会場に赴いた有権者の約半分程と投票率はそれほど高くはなりませんでした。政治学者のミゲル・アグスティン氏はこの現状を踏まえ「選挙はあまり熱狂的では無かったようだ」と述べました。
参考までに各党の勢力図も載せておきます!

来年の大統領選、どうなるかニャ~?
ソース:Morena vence a Del Moral y acaba con 94 años del PRI en Edomex – 05/06.2023 / El Financiero
ソース:Morena avanza a la elección presidencial gobernando a 90 millones de mexicanos – 05/06.2023 / Milenio
ソース:López Obrador consolida su poder al ganar elecciones en el Estado de México – 05/06.2023 / El Periódico de México
参考文献:“No va a haber dedazo”: AMLO promete no intervenir en elecciones presidenciales 2024 – 05/06.2023 / Alto Nivel
参考文献:メキシコ州知事選、野党地盤で与党勝利 大統領選へ優勢 – 05/06.2023 / 日本経済新聞
参考文献:Restaurantes de Coahuila ofrecerán descuentos para incentivar el voto por las elecciones – 04/06.2023 / Noticias Milenio YouTube
メキシコ経済の注目ニュース
【トヨタ自動車、アメリカでのEV生産に向け、建設中のノースカロライナ州の車載電池工場に21億ドル追加投資を発表】

トヨタ自動車は6月1日、需要が拡大する米国市場でのBEV(バッテリーEV)の供給に向けて、生産工場の決定と、電池工場への追加投資を発表しました。2025年から、ケンタッキー州の工場でBEVの新型車となる3列シートSUVを生産し、同車両には新たに追加投資を発表したノースカロライナ州の工場で生産する電池を搭載する予定です。
これにより、同社初の米国でのBEV生産になる見込みです!
昨年8月31日に発表した25億ドルの追加投資を含め、新設されるノースカロライナ州の工場への投資額は、今回の2回目の21億ドルの追加発表で合計58億ドルにまで達していて、自動車メーカー各社が乗り出している生産拡充にトヨタも動いていることが分かります。
その背景には、EV販売補助の対象を北米域内で生産した車両に限定するというバイデン政権による域内優遇策があります。昨年8月成立の歳出・歳入法のもと、1台につき最大7500ドルに定めたEV販売補助金に関して、北米地域(米国・カナダ・メキシコ)外で組み立てたEVは受給資格対象外とするようになりました。
加えて、その半分にあたる3750ドル分の補助を受給するためには、一定割合の車載電池を北米地域で製造する必要があるという条件も設けられています。
自動車メーカーにとっては、価格競争力に直結する死活問題です💦
テスラ・GMなどの米国内メーカーやVW(独)・現代自動車(韓国)など他国メーカーと比べて、日本の自動車メーカーは対応が後手に回っている現状で、6月1日現在でEVの現地生産を開始しているのは日産自動車だけとなっています。
EV関連の話題は継続して紹介していくニャ!
ソース:トヨタ、米国でのBEV生産と電池工場への追加投資で、電動化への取り組みを強化 – 01/06.2023 / Toyota
参考文献:トヨタ、米で初EV生産へ 電池工場に2900億円追加投資 – 05/06.2023 / 日本経済新聞
メキシコ文化の注目ニュース
【メキシコ向け日本産精米輸出解禁ワークショップの開催】

メキシコシティーにある日墨会館において5月30日、在メキシコ日本国大使館・農林水産省・JETROの共催で「メキシコ向け日本産精米輸出解禁ワークショップ」が開催されました。
メキシコ国内の食品卸、小売り、レストラン関係者等約100名が参加し、メキシコからはビジャロボス農業・農村開発大臣、日本からは農林水産省輸出・国際局谷村審議官、真鍋臨時代理大使、JETROメキシコ中畑所長が出席し、輸出解禁に際しての詳細説明や日本産精米とカリフォルニア産精米それぞれで作ったおにぎりの食べ比べなどが行われたそうです。
農林水産省と検疫当局との協議の後、メキシコ政府は3月に日本産精米の輸入を解禁していました。
外国産精米に対してメキシコが課している輸入関税は20%であるものの、日本からの輸出はCPTPP(包括的・先進的環太平洋経済連携協定)の影響で2018年から毎年2%ずつ低下していて、2027年からは関税0になる見込みだと報じられています。
昨年の外国産精米輸入量は約7万1600トンとされていて、内訳としては米国産が62%、ウルグアイ産が35%と、それぞれメキシコとFTAを結んでいて関税上の優遇を受けている2国からの輸入が大半を占めています。
メキシコでも気軽に日本米が食べれる未来がくるかニャ~😊
ソース:メキシコ向け日本産精米輸出解禁ワークショップ – 01/06.2023 / 在メキシコ日本大使館
参考文献:日本産精米輸入解禁受け、ワークショップ初開催で手応え – 01/06.2023 / JETROビジネス短信
他中南米地域の注目ニュース
【フィンテック市場の展望(ブラジル)】
ブラジルでは官民双方からFinTech(フィンテック:金融サービスと情報技術を結びつけた新たな価値創出)への関心が報じられています。
政府・中銀側は近年、Pix(即時リテール決済システム)の開発やCBDC(中央銀行デジタル通貨)の研究、フィンテック企業の新規参入促進を促進する制度整備などを進めてきました。
一方の民間側では近年、暗号資産への関心が急激に高まっています。
また、金融大手4行(ブラジル銀行、イタウ銀行、ブラデスコ銀行、ブラジル連邦貯蓄銀行)の市場寡占に起因した「既存金融機関の非効率性」や「高止まりしているサービス価格」が問題視されているほか、政府・中銀からの支援拡充などによりフィンテック企業の存在感が増しています。
ブラジルでの15歳以上の銀行等金融口座保有率は高所得国平均と比較すると見劣りするものの、2011年の56%から2021年には84%と急上昇しました。
その背景にある事情を軽くまとめてみたニャ~
- 政府によるコロナ対策給付金の需給の為に金融口座が必須だった
- 制度整備のおかげで事業者数が増加し競争力が増した
- Pixの導入で金融サービスのコスト低下が起こった etc…
また、ブラジル中銀は2020年11月に決済市場の効率化と競争・デジタル化推進などを目標にPix(Fast Payment System)の運用を開始し、利用者は民間の金融機関が提供するスマホアプリを通じて24時間365日、即日に送金や決済が可能になりました。
個人利用は無料で、PSP(決済サービスのプロバイダー)に対しても手数料は少額(1取引あたり0.001ブラジルレアル=0.028円)です。PSPはPixを利用する企業に対して手数料を課しているものの、平均手数料は0.22%とクレジットカード(2.20%)、デビットカード(1.10%)と比較すると極めて低い率となっています。
Pixユーザー数は今年の2月末時点で1億4469万(個人1億3334万、法人1135万)と実に国民の6割以上が利用していて、導入1年後の人口当たりFPS取引回数の比較でも37.2回と他国を圧倒(シンガポール1.7回、メキシコ1.1回)しています。
今後は口座振替や電子インボイスなどの新サービスの開始が予定されていて、P2PだけでなくP2Bの利用拡大も見込まれているそうです。
中南米地域では暗号資産への関心が総じて高く、エルサルバドルに代表されるように法定通貨化した国もあります。UNCTAD(国連貿易開発会議)によれば、ブラジルでの2021年の成人人口暗号資産保有率は4.9%で世界第14位だったほか、米ブロックチェーン分析会社のレポートでは世界暗号資産導入指数において第7位となっているとのことです。
IMFが背景事情の解説をしてたので、こちらもまとめてみたニャ~
- インフレや通貨安で自国通貨建ての資産価値が下落することへの不信感
- 資本規制で米ドルへのアクセスが困難
- 投機対象として自国通貨が扱われる
- 郷里送金に、暗号資産が便利で低コスト etc…
この流れを踏襲する国が、今後ブラジルの他にも出てくるかもね🤔
ソース:国際金融2023年5月1日号「ブラジルのフィンテックの現状と展望」 – 01/06.2023 / 公益財団法人 国際金融情報センター
今週のトピックス
【メキシコでの記者殺害、過去最多を記録し世界ワーストへ】

悲しいニュースだけど、大事な話題なので紹介しますニャ😢
メキシコでは、「暴力により報道の自由が侵害されている」と言わざるを得ない現状があります。主には汚職や組織犯罪を取材し批判的な報道を重ねる記者が標的となっていて、記者自身が運営する独立系のサイトに腐敗や汚職を扱った記事を投稿し、記事削除の脅迫を拒んだ場合殺害されるとのケースや、取材を続けていると前触れもなく突然襲われるケースもあると報じられています。
2022年に全世界で殺害されたジャーナリストは57人で、
その内13人がメキシコで殺害されています…。
独立系人権団体のArtículo19責任者のペドロ・カルデナス氏によれば、2000年からの20年間で足らずで150人以上のジャーナリストがメキシコ国内で殺害されていて、記者に対する暴力や脅迫は、1年間の平均で664件報告されているとのことです。
背景にはAMLO大統領のメディア批判があると言われています。「報道の自由は重要だ」という建前は示しているものの、政権に対し好意的でない報道をまとめて紹介するコーナー(Quién es quién en las mentiras de la semana:嘘つきは誰だ)を週に一度、朝の定例会見内に設けて記者批判を続けているため、記者に対するヘイトがAMLO大統領から全国に派生しているとの批判が全国のジャーナリストから寄せられています。
「今週の嘘つきはこいつだ!」って大統領が言ってる…。
日本ではあまり考えられないニャ💦
実際、前ニエト政権下と比較してメディアへの暴力・脅迫は85%増加したほか、民主主義社会でジャーナリストが果たす役割を公的に強調するように求める、AMLO大統領を名指しした決議が欧州議会から過去に提出されています。
またMecanismo(人権擁護者とジャーナリストのための保護メカニズム)という、前ニエト政権が創設した保護プログラム(約1600人の内、ジャーナリストは現在500人ほどが対象)があり、緊急時の通報ボタンやボディーガードなどが政府から支給されているものの、襲撃事件は引き続き発生しており、保護対象下にも関わらず記者9人殺害されています。
「2023年報道の自由世界ランキング」では、メキシコは128位でした。
ちなみに、日本は68位。1位はノルウェーで最下位は北朝鮮でした。
ソース:「殺されてもかまいません」“記者殺害”メキシコで過去最多に 「報道の自由」を守るため…暴力に抗う記者たちの“覚悟”【報道特集】 – 04/06.2023 / TBS News YouTube
参考文献:Number of journalists killed worldwide from 1995 to 2022 – 17/01.2023 / Statista
参考文献:El Mecanismo de Protección para Personas Defensoras de Derechos Humanos y Periodistas – 12/07.2023 / Gobierno de México
最後に
今回は、『週刊メキシコ』第12報をお届けしました。
ここまで読んでくださってありがとうございました!!
これからも色んな記事をどんどん書いていきますニャ!
他の記事も是非チェックしてニャ👇


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それでは
hasta pronto,
eme-.